2024年11月29日

勉強にはコツがある その9 父親編 #1179

第1179回の今回は
勉強にはコツがある その9 父親編
というテーマでお送りします。



結論から書く。
父親は、子どもを見て欲しい。

自分のセンチメンタルな感情を捨てて、子どもを見て欲しい。
子どもの現状を見て、子どもの幸せな未来をつくっていくため今何をすべきか。
合理的、論理的に考えて欲しい。
これが、父性というもので、父親は、その父性の体現者であることを
一時も忘れてはいけない。
これが、父親として子供への責任を果たすことである。

自分は厳格に育てられて辛く苦しかったと思っている父親は、
子供に自分とは違った経験をさせてやりたいと思うことが多い。

よく言われるフレーズが「子供らしい生活をさせてやりたい」とか
「バランスが重要だと思う」とか「子どもの意見を尊重して」など、
耳障りのいい常套語句に支配され、思考停止に陥る。

そして、子供と取引するようになる。
「今度の試験が80点以上だったら、○○を買ってあげる、等」
そうやって、子供を甘やかし、子供から幸せな未来を奪ってしまう。

父親の問題は父親も問題であって、子供の問題ではない。
子供に自分の問題を投影するのはやめなくてはならない。
やらなくてはならないことに全力で向き合えるように父親は子供を導いていかなくてはならない。
やるべき時にやるべきことをやらせることの大切さに、父子ともに向き合ってほしい。

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2024年11月22日

勉強にはコツがある その8 根本編 #1178

第1178回の今回は
勉強にはコツがある その8 根本編
というテーマでお送りします。



あなたは日本文明の継承者である。

教育の基本はここにあると考える。

教師は生徒に何を伝えるか。
それは、数学を通して、物理学を通して、化学を通して、語学を通して
その他あらゆる教科を教える過程で、このことを伝えていかなくてはならない。

勉強を自分から進んでやる子に育って欲しいと思うなら、
そして、立派な人生を歩んで欲しいと思うなら、
まず、お子さんに「あなたは日本文明の継承者なんだよ」と教えて欲しい。

そして、親自身も「日本文明の継承者であり、伝授者でもあること」を
常に思い出してほしい。

過去の先人たちが作ってきた日本文明に常に深い敬意をもつことができてこそ、
数々の教育技術は、十全に機能する。
躾や教育に対する迷いもなくなる。

躾や教育に迷いが生じたら、まず、「自分が何者であるか」思い出して欲しい。

縄文時代は1万年以上前に始まった。

そういう長い長い歴史の上に今の私たちがあることを意識して欲しい。

尊敬と感謝をもって、歴史の営みを思い返して欲しい。

先人の努力無くして今の自分があろうはずもないのだ。

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2024年11月15日

勉強にはコツがある その7 国語編 #1177

第1177回の今回は
勉強にはコツがある その7 国語編
というテーマでお送りします。



まず、国文法の大切さについて書く。
我々は、国文法の学習を通して、生まれて初めて、言語をメタで認識することを学ぶ。
言語をメタで認識することは抽象度が高く、かつ、国文法は対象が母国語であるため、母国語話者としてはかなりのレベルに達している生徒が、その効用を日常生活で感じることはまずない。

この二つが原因となって、国文法の勉強は軽視、敬遠されがちだ。
とくに口語文法は、古典文法に比べて必要を感じることがより少ないため、
口語文法の指導と習得を困難にしている。

だからといって、これらの事情と国文法の重要さとは何の関係もない。
文意を正確にとらえるためには、国文法が不可欠である。
主語ー述語、修飾ー被修飾の関係が明確でなくて、どうして文意を正確に特定でるきだろうか。
重文、複文などを認識できるからこそ、複雑な文構造から、文意を特定できる。
国語の問題を解くためには、問題文を一字一句正確に読解できることが前提となる。
この前提条件を満たすためには、国文法の知識を使って、
レンズで対象物を拡大するがごとく、文意を正確にとらえなくてはならない。

もう一つ大切な事がある。
それは読書である。
大学入試でなぜ、国語の試験があるかを考えてみるとその重要さがわかる。
そもそも、国語の試験は、古文、漢文も含めて、何を試そうとしているのか。
国語の運用力とある水準以上の背景知識の有無が問われているのだ。
大学入試の国語の問題文をテクニックだけで読み解くことはできない。
ある一定水準の背景知識を咀嚼していることが求められる。
大学教育を受けるには、一般常識以上の教養が必要だからだ。
この背景知識を得るのに最も有効なのが読書である。
もちろん読書は、読み書きの力も養ってくれる。
文章作成能力と読書量は比例すると考えてよい。
特に記述式問題の解答作成には、問題文の言っていることを抽象化しなくてなならない。
単に国語の運用力以上の能力を求められているから尚更だ。
物事を抽象化して表現する能力も読書は養ってくれる。

読書の大切さをお話しすると、必ず受ける質問がある。
「どういう本を読んだらいいでしょうか」
この質問に答えるのはかなり難しい。
この質問に真剣に答えようとするとき、いつも思い浮かぶのは紀貫之の書いた古今集の仮名序である。はたしてこれを超える文章があるのだろうか。

中学生以下なら、濫読を勧めるが、これだけだと、すごく不親切でもある。
中学生までに濫読の時期を持ってほしいのだが、この世に善人も悪人もいるように、良書も悪書もあるからだ。
善人の顔をして、悪事を働く人もいるように、良書のふりをして、そのじつ稀代の悪書という本も多い。悪書に染まると、その影響は甚大で、個人の人生のみならず、国家をも破滅させるほどの力がある。そういう悪書を識者と思われる人々が勧める場合も多い。だから注意をしなくてはならないのだ。人生を歩むうえで、悪人とかかわらないというのは重要な処世術だが、読書にも同じことが言える。それだけ、難しい。

谷沢永一著「自作自注最終版 紙つぶて」文藝春秋社版
https://amzn.asia/d/5U1kUk3
は読書のいいガイドになってくれる。
これを乗り越える気概を持って読書に励んで欲しい。

最後に、問題演習について書く。
国語の得点力の向上に問題演習は不可欠だ。
志望校の過去問を使って、以下のことをできるだけ早期に始めて欲しい。
1. 選択肢を選ぶ問題なら、一つ一つの選択肢の正誤の根拠を明確にして、書き出す。
2. 記述式問題なら、解答に書くべき事項を特定して、書き出す。
3. これに基いて、実際に答案を作成する。
すべての選択肢、設問に対して、根拠を明確にすることを愚直に行ってほしい。
これだけで、得点力はみるみる上がっていく。

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2024年11月08日

勉強にはコツがある その6 化学編 #1176

第1176回の今回は
勉強にはコツがある その6 化学編
というテーマでお送りします。



生徒に
「電気陰性度の定義を言いなさい」
「強酸、弱酸の定義を言いなさい」
「蒸気圧の定義を言いなさい」
という質問を投げかけると、即答できる生徒の数はそれほど多くない。
驚くべきことだが、それが事実なのだ。

原子間の電気陰性度の差と分子の形から極性が生じ、それが、化学反応の方向を決めたり、水素結合を生じさせて、物性に大きく影響を与えるという一連の話が1つの物語になっている生徒はもっと少ない。
化学は物語。それも、とびきりおもしろい物語。
1つの物語として化学全体が見通せれば、これほど興味深いものはない。
受験化学の内容は、レベルは低い。
だから、その分だけ、初歩的な概念が自由に使いこなせることが重要になる。

化学の勉強は具体的にはどんなことをするのか4つ段階に分けて書いてみる。
1. 用語の定義を正確に記憶して、基礎概念を自由に使えるようにする。
2. 化学反応式を覚え、基礎概念の化学反応に与える影響を学ぶ
3. 問題演習を通じて、基礎概念が使われる様子を学ぶ。
4. 問題演習を通じて、解法のテクニックを学ぶ。
これによって、生徒は、化学という物語を語れるようになれる。
有効な本を紹介する。
以下の順で取り組むと効果が高い。

※タイトルをクリックするとAmazonの詳細ページに遷移します
1. 書き込みサブノート化学 中道淳一著 旺文
2. 大学合格新書 改訂版 化学早わかり 一問一答 西村能一著 KADOKAWA
3. 化学[化学基礎・化学]入門問題精講 四訂版 橋爪健作著 旺文社
4. 宇宙一覚えやすい 化学反応式ハンドブック 改訂版 船登惟希著 Gakken
5. 化学頻出スタンダード問題230選〈改訂版〉西村能一他著 駿台文庫
6. 化学 記述・論述問題の完全対策 石川正明著 駿台文庫
7. 志望校の過去問

簡単な本ばかりだが、軽視しないで欲しい。
他の科目同様に、記憶すべき事項、概念はしっかりと記憶することが重要だ。
何度も言うが、学習を積み重ねて、化学と言う物語を自分で語れるようになって欲しい。
そうなれば、あとは過去問をやるだけで受験には十二分に通用する。
一点付け加えると、論述問題の解答は、解答そのままを覚えて欲しい。
一字一句違えずに覚えて欲しい。
そうすると、化学を物語として語ることがより容易に達成できる。
正しく取り組めば、中一から始めれば、高一の終わりには受験レベルに到達できます。
張り切って取り組んでください。
化学の勉強が順調に進んで、化学が大好きになり、
化学への愛が溢れんばかりになられる方も多いと思う。

そういう方に、是非、手に取って欲しい本がある。

8. フロンティア軌道論で理解する有機化学 稲垣都土他著 化学同人
という本です。
この本の序章をまず読んでください。
量子力学を基礎とした有機化学が一般的なものになったおらず、
いまだに有機電子論が主流になっているということが序章に記されています。
福井謙一先生が量子力学を有機化学の基礎とするという志を持たれ、
フロンティア軌道法を創られました。
その業績は高く評価され、ノーベル化学賞を1981年に受賞されました。
それから40年以上たちました。
にもかかわらず、量子力学を基礎とした有機化学が一般的なものになっておらず、いまだに有機電子論が主流になっている。
門外漢の私は驚きました。
しかし、これから学問の世界に旅立とうしている方には、
目の前に広大なフロンティアが開かれていることを意味します。
この目の前にある広大無辺なフロンティアを縦横無尽に走り回り、
開拓して、欲しいと心から思います。

福井先生は、
1. 学問の創造 福井謙一著 ‎ 佼成出版社
と言う本を書かれています。進路選択や勉強法などとても役に立つ本です。

この本のなかで、先生が若いころ、
1. 湯川秀樹 量子力学序説 湯川秀樹著 大阪大学出版会
を徹底的に勉強されたと書かれています。
長らく、絶版でしたが、2021年にふたたび手に入るようになりました。
福井先生の顰に倣う方が沢山沢山出現するのを心から祈っています。
大きな夢を胸の底から湧き上がる情熱で実現していきましょう。

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再生時間は14分半です。ぜひ聴いてみて下さい。

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2024年11月01日

勉強にはコツがある その5 物理編 #1175

第1175回の今回は
勉強にはコツがある その5 物理編
というテーマでお送りします。



現代人が何が何でも勉強しなくてはならない科目が物理。
現代人にとって、物理を勉強しないという選択肢はありません。

物理学の思想や手法が基礎となって、われわれが享受している文明を創っているからです。
AIとか深層学習とかいう言葉が乱れ飛んでいますが、
もちろん基礎は物理学です。

物理学は現代文明の基礎を提供しただけでなく、
社会科学、人文科学にも大きな影響を与えました。
物理学の影響の及ばない分野を探すことは不可能です。
だから、現代人は物理を勉強しなければならないのです。

この大切な物理を勉強するにはコツがあります。
まずしていただきたいことは、物理を勉強する前に、微分積分を勉強してしまうことです。

物理の問題を解くことは、2階の微分方程式を解くことを意味します。
物理を分かるためには、微分積分にある程度熟達する必要があります。
数学UB、VCの教科書や参考書でもいいのですが、

ここでは、より高度な学習の手掛かりになる書籍を5冊紹介します。
いづれも大学生向けの図書ですが、中高生にこそ是非手に取ってほしい書籍です。
このレベルの微積分を早い時期に手の内に入れてしまうことは
計り知れないほど大きな利益をもたらします。

1. ヴィジュアルガイド物理数学 1変数の微積分と常微分方程式 前野昌弘著 東京図書
https://amzn.asia/d/6fZVVBe
2. ヴィジュアルガイド物理数学 多変数関数と偏微分 前野昌弘著 東京図書
https://amzn.asia/d/h86RUbl
3. キーポイント 微分積分 川村清著 岩波書店
https://amzn.asia/d/h7ketZa
4. キーポイント 多変数の微分積分 小形正男 岩波書店
https://amzn.asia/d/21YzWOM
5. 微分と積分 その思想と方法 遠山啓著 ちくま学芸文庫
https://amzn.asia/d/4lcday4

微分積分ができるようになったら物理の勉強に入りましょう。
ここで大切な注意があります。
中学高校の物理の教科書は読まないこと。
残念なことですが、無用の混乱を招く記述になっているからです。

物理は、教科書が使えません。教科書を使ってはいけません。
中高の課程では、微分積分を前提として物理を展開しないため、どうしても無理が生じます。
微分積分なしに物理を記述できません。
微分積分無しの物理はないのです。

だから、学校の授業を受けて、一生懸命勉強しているのにさっぱりわからないと嘆くようになるのは当たり前のことなのです。
そこで、学校の教科書ではなくて、次の本を勉強しましょう。

親切な物理 上・下 渡辺久夫著 復刊ドットコム(正林書院)

この本を絶対手に入れて欲しい。
正確さと親切さにおいてこれ以上本はありません。
この本を信頼して、とことん付き合ってください。
最短距離で物理の神髄をマスターすることができます。

第I編 力学 第2章 §2 一直線上の力のつり合い
のところは特に丁寧に読んで咀嚼してください。
この部分は物理の根幹といえますが、これほど丁寧に分かりやすく書かれた本はどこにもありません。
だからこそ、特に丁寧に読んで欲しいのです。
物理がよくわかるように、よくできるようになります。

それから、問題は、問題文を丁寧に読んだら、解答をすぐに丁寧に読んでください。問題文を読むとき、情報を整理するために、図やグラフを書きながら読んでください。解答を読むときも図やグラフを書き、式変形をしっかり追跡しながら読んでください。(小説を読むのとは決定的に違います)

特に問題を解く時、「物理は手順である」という視点をもって勉強することが大切です。
分野によって違いはありますが、どういう手順で現象を解析していくのかと、手順に注目して整理しながら勉強すると解答能力が上がっていきます。
知識と技術を手順として整理するのです。
問題文を読んだら、まず何をするのか、次に何をするのか。
これを整理していってください。

そして、最後に、物理を勉強していくと次のことがわかってきます。
それは、物理は実験科学だということです。
物理は数学で記述されますが、あくまでも物理においては数学は便利な道具に過ぎません。
物理を発展させてきたのは、実験です。

マイケル・ファラデーは「徹頭徹尾の実験家」と言われますが、
マイケル・ファラデーこそ真の物理学者です。
マイケル・ファラデーの伝記を読まれると向学の志を大いに鼓舞されると思います。
物理は素晴らしい、文句なく、とにかく面白い。
理屈抜きに面白いという科目が物理です。
一度できるようになれば、満点も狙える科目です。
是非、安心して物理に魅了されてください。
思う存分物理を楽しんでください。

絶対合格!

再生時間は15分半です。ぜひ聴いてみて下さい。

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posted by 鴨下算数数学塾 at 15:00| Comment(0) | 勉強法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする