割り算とは何か
というテーマでお送りします。
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割り算と聞いて何を連想するだろうか。
学習とは連想ゲームであるから、
1つの言葉を見たとき、何を連想するのかが重要になってきます。
割り算と聞いて連想すべきことは2つあります。
1つ目は、「割り算は、逆数をかけること」であること。
2で割ることは、二分の一をかけること。
二分の一で割るとは、2をかけること。
2と二分の一をかけると1になる。
すなわち、2は二分の一の逆数であり、
二分の一は2の逆数である。
このことが連想できると、
数式をスムーズに扱うことができるようになります。
数式の扱いが下手なのは、このことが連想できていない
ことが大きな原因になっています。
2つ目は、「剰余類」です。
そもそも割り算とはなんでしょうか。
これも例をとって説明します。
5を3でわると、商が1で余りが2となるが、
これは、1と2という数の組を決定しているといえます。
割り算は、商と余りからなる数の組を唯一に決定するのです。
これを別の書き方で、
5=3×1+2
と表せます。
商と余りの組(1,2)を決定しているのがわかります。
引き続いて、
8=3×2+2
11=3×3+2
14=3×4+2
17=3×5+2
-1=3×(-1)+2
-4=3×(-2)+2
-7=3×(-3)+2
これからわかることは、{8,11,14,17,-1,-4,-7}は、同じ仲間だということです。
数学では、これを「同じ」だと考えます。
8≡11≡14≡17≡-1≡-4≡-7≡2 (mod 3)
と表します。
余りが2の整数以外に、余りが1の整数と余りが0の整数があります。
すべての整数はこの3つに分類することができます。
(自然数nで割れば、整数はn種類に分類できます)
余りが0の整数の仲間を0で代表させます。
余りが1の整数の仲間を1で代表させます。
余りが2の整数の仲間を2で代表させます。
次に、代表させた数同士の和を考えます。
0+0≡0
0+1≡1
0+2≡2
1+0≡1
1+1≡2
1+2≡3≡0
2+0≡2
2+1≡3≡0
2+2≡4≡1
ところで、17+(-4)=13となります。
17は2の仲間、−4は2の仲間。
13=3×4+1
なので、13は1の仲間。
だから、2の仲間の17と2の仲間の-4を加えると1の仲間の13になる
ということです。
つまり、
2+2≡1(mod 3)
となります。
代表させた数同士の和を考える意味がわかります。
以上が、割り算を聞いて連想できなくてはならないことです。
これらのことがすぐに連想できると、
演習がスムーズに進み、努力に比例して力がついてきます。
ここで、注意してほしいことを書きます。
まず、小学校の低学年からこれらのことを連想できるように体系的に指導する必要があること。
それから、数学の進歩の方向は抽象化にあることです。
普通の整数同士の演算が、代表する数同士の演算に置き換わっています。
そして、「群」が生まれます。
現代数学の基本的な概念である「群」は、身近なところにあります。
数学は抽象化することで新しい視点を提供してくれます。
それを、面白いと思い、積極的に受け入れていくという姿勢が学習者に求められます。
また、指導者には、学習者が抽象化に慣れるように指導していくことが必要になります。
連想すべきことを連想できるように指導していくことは
言い換えれば「筋の良い勉強」をできるように指導することと同じです。
「筋の良い勉強」とは、努力に比例して力がついていく勉強だからです。
そして、勉強すればするほど、その教科の面白さ、美しさが分かってきます。
勉強すればするほど、その科目が好きになってきます。
どうせやるなら、筋の良い勉強をして欲しいと心から思います。
再生時間は9分です。ぜひ聴いてみて下さい。
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