2023年05月26日

割り算とは何か #1100

第1100回の今回は
割り算とは何か
というテーマでお送りします。




割り算と聞いて何を連想するだろうか。
学習とは連想ゲームであるから、
1つの言葉を見たとき、何を連想するのかが重要になってきます。

割り算と聞いて連想すべきことは2つあります。

1つ目は、「割り算は、逆数をかけること」であること。

2で割ることは、二分の一をかけること。
二分の一で割るとは、2をかけること。
2と二分の一をかけると1になる。
すなわち、2は二分の一の逆数であり、
二分の一は2の逆数である。

このことが連想できると、
数式をスムーズに扱うことができるようになります。
数式の扱いが下手なのは、このことが連想できていない
ことが大きな原因になっています。

2つ目は、「剰余類」です。

そもそも割り算とはなんでしょうか。
これも例をとって説明します。
5を3でわると、商が1で余りが2となるが、
これは、1と2という数の組を決定しているといえます。
割り算は、商と余りからなる数の組を唯一に決定するのです。

これを別の書き方で、

5=3×1+2 

と表せます。
商と余りの組(1,2)を決定しているのがわかります。
引き続いて、

8=3×2+2
11=3×3+2
14=3×4+2
17=3×5+2

-1=3×(-1)+2
-4=3×(-2)+2
-7=3×(-3)+2

これからわかることは、{8,11,14,17,-1,-4,-7}は、同じ仲間だということです。
数学では、これを「同じ」だと考えます。
8≡11≡14≡17≡-1≡-4≡-7≡2 (mod 3)
と表します。
余りが2の整数以外に、余りが1の整数と余りが0の整数があります。
すべての整数はこの3つに分類することができます。
(自然数nで割れば、整数はn種類に分類できます)

余りが0の整数の仲間を0で代表させます。
余りが1の整数の仲間を1で代表させます。
余りが2の整数の仲間を2で代表させます。

次に、代表させた数同士の和を考えます。
0+0≡0
0+1≡1
0+2≡2
1+0≡1
1+1≡2
1+2≡3≡0
2+0≡2
2+1≡3≡0
2+2≡4≡1

ところで、17+(-4)=13となります。
17は2の仲間、−4は2の仲間。
13=3×4+1
なので、13は1の仲間。
だから、2の仲間の17と2の仲間の-4を加えると1の仲間の13になる
ということです。
つまり、
2+2≡1(mod 3)
となります。
代表させた数同士の和を考える意味がわかります。

以上が、割り算を聞いて連想できなくてはならないことです。

これらのことがすぐに連想できると、
演習がスムーズに進み、努力に比例して力がついてきます。

ここで、注意してほしいことを書きます。
まず、小学校の低学年からこれらのことを連想できるように体系的に指導する必要があること。

それから、数学の進歩の方向は抽象化にあることです。
普通の整数同士の演算が、代表する数同士の演算に置き換わっています。
そして、「群」が生まれます。
現代数学の基本的な概念である「群」は、身近なところにあります。

数学は抽象化することで新しい視点を提供してくれます。
それを、面白いと思い、積極的に受け入れていくという姿勢が学習者に求められます。
また、指導者には、学習者が抽象化に慣れるように指導していくことが必要になります。

連想すべきことを連想できるように指導していくことは
言い換えれば「筋の良い勉強」をできるように指導することと同じです。
「筋の良い勉強」とは、努力に比例して力がついていく勉強だからです。
そして、勉強すればするほど、その教科の面白さ、美しさが分かってきます。
勉強すればするほど、その科目が好きになってきます。

どうせやるなら、筋の良い勉強をして欲しいと心から思います。


再生時間は9分です。ぜひ聴いてみて下さい。
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2023年05月19日

考えないといけないから #1099

第1099回の今回は
考えないといけないから
というテーマでお送りします。




入塾してしばらくたったとき、
こんなふうに言ってくれる子供たちが多い。


「他の塾は、だまってすわっていれば、
何もしていなくても、おこられることはないんだけれど、
鴨下算数数学塾では、ただ座っているだけではだめで、
考えないといけない。
だから、わからないこともわかるようになるし、
できないこともできるようになる。」

まさに、その通りで、
いい子にして、先生の話を聞いているだけでは力はつかない。

力をつけるためには、
自分の手を動かして、図を書いたり、計算したりする必要がある。

自分で自分の手を動かすこと。
「考えるとは、手を動かすことだ」
これは、私が生徒によく言うことだ。

生徒にとって環境は大切だ。
鴨下算数数学塾は、全学年が一つの教室で勉強する。
初めて入った子供たちは、
全員が一心不乱に問題に向き合っている様を
間近に見ることになる。

教育効果の最大化を目指して、意識的に環境を作っている。
席順にも細心の注意を払っている。
環境の重要さを熟知しているからだ。

その中で、
1.正しい頭の使い方
2.正しい考え方
を指導していく。

学習がうまくいっていない子供は、この二つが間違っている。
ただ、これを学習意欲の低い集団の中で教えることは効果が低い。
やはり、指導の効果を上げるためには、
環境、つまり、正しい頭の使い方ができ、正しい考え方を持っている
生徒に囲まれていることがとても重要になる。

多くの生徒に、
整った環境で、正しい指導を受けて欲しいと心から思う。



再生時間は10分です。ぜひ聴いてみて下さい。
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2023年05月12日

大学に入ったら、線型代数の授業が英語で行われていた・・・ #1098

第1098回の今回は
大学に入ったら、線型代数の授業が英語で行われていた・・・
というテーマでお送りします。




大学1年生からの相談です。

入学して、線型代数の講義が英語で行われているのだが、
全くついていけそうにない。
どうしたらいいのだろう。

そういう内容でした。

私の答えはつぎのようなものです。

抽象度の高い事柄を外国語で学ぶことはできない。
だから、母国語である日本語で書かれた本で自習しなさい。
そのとき、単純な計算問題をたくさんやること。
講義については、これを英語ではどう表現しているのかという観点を
もって講義を聞くことが大切で、あくまで、日本語での理解が前提となる。
日本語で理解していなかったら、英語で理解することは不可能です。
日本語での理解があって、その後で同じことを英語ではどういう表現を使っているのか
を知る機会が講義であると位置づけること。
英語の講義で、学ぼうとしないこと。

その上で、線型代数のエッセンスを15分ほど話しました。
たぶん、質問者には全く分からなかったとおもいますが、
分からないくてもいいのです。
初学者は一度、その科目のエッセンスを聞いておくと回り道することなく
勉強を進めることができるからです。
これが、真の高速学習です。

線型代数のように重要な科目を英語で授業する意味はないのです。
日本語で講義をしましょう。
日本語で書かれた優れた教科書を読みましょう。
日本語を大切にしましょう。
日本の文化を慈しみましょう。


再生時間は9分です。ぜひ聴いてみて下さい。
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2023年05月05日

勉強が大好きになる方法 #1097

第1097回の今回は
勉強が大好きになる方法
というテーマでお送りします。




おもしろきこともなき世をおもしろく、すみなすものは心なりけり

これは、高杉晋作の辞世の句である。

これを勉強に引き付けて解釈すると

おもしろくないと思った勉強でも、自分の心次第で、
いくらでも面白くすることができる。

という意味になる。

大切なのは、
自分の心次第でどうにでもなるという考え方である。

私は、生徒に「おもしろがりなさい」と言います。
どんな些細なことであっても、おもしろさの種が感じられたら
それを意識的に
10倍、100倍、1000倍、10000倍・・・
とどんどん大きくしていきなさいと指導する。

「おもしろいもの」がそもそも存在するわけではない。
おもしろさの種を自分の心次第でいくらでも大きく育てることができる。

そもそも存在しているとはどういうことでしょうか。
存在しているのは脳の神経細胞の発火だけある。
脳神経細胞が発火することで、
世界の像を脳の中に作っているにすぎない。

すべては心次第である。

発火する脳神経細胞が変われば、この世の像は変わる。
我々は仮想現実を生きていること。
我々は仮想現実をいくらでもかえることができること。

高杉晋作の辞世は、このことを教えてくれている。



再生時間は5分です。ぜひ聴いてみて下さい。

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